結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「あらためて、特別賞の受賞、おめでとう」

 せっかくだからと、彼がオーダーしたシャンパンで乾杯をする。

「今日はプライベートだから、いくらでも飲んでいいぞ。俺が責任を持って瑞希を介抱してやるから」

 珍しく、冬馬さんがくすりと笑う。

 前に出席したパーティーで、すっかり酔ってしまったことを揶揄しているのだろう。あれ以来、多忙だったこともあってアルコールは口にしていない。

「も、もう! そこは飲みすぎないように釘を刺してくださいよ」

 再び彼に抱えられるなんて、とんでもなく恥ずかしすぎる。あの記憶は、彼の中から今すぐ消してほしい。

 咳払いをして、場を仕切り直す。背筋を伸ばし、冬馬さんと視線を合わせた。

「ありがとうございます。このお店も、それにこんな素敵なドレスも」

「よく似合っている」

 さらりと褒められて、再び羞恥心に襲われる。

 結婚前の彼の様子を思い起こすと、こんなふうに女性を自然に褒められる人だなんて想像もつかなかった。言われ慣れない私は、たったひと言で胸を高鳴らせてしまう。

 それから彼は、私の緊張をほぐすように気軽な話題を振ってくれた。

「瑞希の企画案も、なかなか評判がよかった」

 うれしい評価に口もとが緩む。

「だが、イベントで発表するからにはインパクトの大きさも重要視された」

 それから彼は、ほかの企画についても話してくれた。

 大賞に選ばれたものは、〝パーソナル〟をキーワードにしている。気温や湿度などの自然条件に加えて、対象者の肌状態について専用の機械を使ってその場で診断し、最も適した商品をお勧めする。そんなマシーンの活用を提案したものだ。

 新商品の開発というよりもイベント性を重視しており、賛否の別れる内容だったという。でも、最終的にはそれが受賞の決め手にもなった。

 イベントブースでの反応がよければ、いずれ店頭でも診断できるようにする。美容部員が配属されていない売り場では、精度は落ちるだろうがアプリでも診断できるようにするのだという。イベントだけの単発で終わらないという視点は、かなり重要視されたようだ。
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