思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「いーや。こればっかりは、指摘せずにはいらんねぇ」

 彼の不躾な言葉遣いを𠮟咤するため、こちらが唇を動かす暇すらも与えてはくれないようだ。
 ガルドラはジトリと銀色の瞳に剣呑な感情を宿し、呆れたように吐き捨てた。

「あんた、警戒心がなさすぎだろ」
「そうね。自分でも、そう思うわ」
「だったらなんで、改善しねぇんだ? 得体のしれない男から目を離すなんざ、殺してくれって言ってるようなもんだろ」

 こちらが好きでもない男と目を合わせたくないと言わんばかりに、わざと視線を逸らしているのが不満で仕方がないようだ。

『いついかなる時も、誇り高き女王であれ』

 父を亡くしてから、心の中でひそかに掲げていた目標を達成できていない。
 その事実を薄汚い野良犬から指摘されるなど、思いもしなかった。

(リガルドが勝っていれば、こんな面倒な話し合いはしなくて済んだのに……)

 ないものねだりをしたところで、勝敗は変化しない。
 思い通りにならぬ現実から目を背けるのは、終わりにするべきだ。
 リベルラは深い溜息を零すと、嫌々声を発した。
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