【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「何かあれば力になりたいんだが、非力で申し訳ない」

「いいえこちらこそ、ご迷惑おかけしてすみません」

 記事が出たときから心配してくれていた佳純には事情を全て話してあった。

 彼女は私が転職を考えていることを話すと即座に反対した。

「ねえ、琴乃。玲さんも近いうち戻ってくるなら力になってくれるよ。甘えた方が彼は喜ぶと思うな。今回琴乃にこれだけ迷惑かけてる自覚あるはずだしね」

「佳純。玲さんとは正直続けられるかわからない」

「琴乃……」

「お母さんは私が交際を続ければ、また身体が悪くなるかもしれない」

 彼がいずれまた外国勤務になることは確実で、今のままならその時についていけない可能性の方が高い。

 彼が帰国後結婚したいと言っていたことを考え合わせると、更に無理だと思ったのだ。

 弦也には玲さんが記事を否定したことは伝えたが、連絡が遅かったことも含めて信用ならないと激怒していた。

 先を考えたら今別れた方が姉さんの為だと言われた。

 彼が帰国後、記事のことで取材されたり、私の為に交際を否定したりすれば、さらに噂になる。

 最悪の場合、私も巻き込まれる。そうなったら、お母さんは大変なことになる可能性が高い。

 おばさんにも帰国前にこれを理由に別れるべきだと説得された。

 私は転職先を周囲で探し始めた。

 病院の面会は昼。手っ取り早くひらめいたのが、夜に授業がある塾や予備校でかけもちの講師をすることだった。

 学生時代、英語講師のバイトをしていたことがあるのだ。

 すると、面接に行った塾で思いもかけない人に出会った。

 大学のテニスサークルで一緒だった佐田君だ。彼は有名予備校の正社員になっていた。

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