【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 数回読み返して、目をつむりながら震える指で送信ボタンを押した。あちらは真夜中の時間だ。

 驚くべきことになぜかすぐ既読が付いた。いつもならこの時間に連絡すると既読にならない。どうして?

 そして手元で携帯が震え始めた。着信だった。もちろん、玲さんからだった。

 私は震える手でそれをすぐに切ると着信拒否の設定をした。

 はー、はーと肩で息をする自分がいた。まるで悪いことをしているみたいだ。

 いや、悪いことをしているんだ。あんなに優しい彼を裏切ろうとしている。

 吐き気がした。最近食欲もない。失恋のショックだと思い込んでいた。

「ううっ……うっく……ごめん……なさい……玲さん……!」

 彼と違う時間がその時から動き出した。



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