【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
玲side3
一時帰国から戻り、フランスのG7に入った。
無事に仕事を終え、琴乃とゆっくり話そうと思ったころだった。突然、彼女からメールが来た。
すぐに確認してショックで携帯電話を下に落とした。息が止まるほど驚いた。
「玲さんごめんなさい。私と別れてください。理由は私にあります。あなたは何も悪くない。私のことはどうか忘れて幸せになってください。今まで本当にありがとうございました。さようなら」
「……どういうことだ、琴乃……」
訳が分からなかった。あの一時帰国の時にはそんな気配はまるでなかった。
それどころか、彼女は僕を愛していると何度も言っていた。
急にこんなことを言うこと自体おかしい。
すぐに携帯電話を拾った僕は彼女に電話した。しかし、着信拒否されていると画面は教えた。
琴乃に拒絶された。僕は頭が真っ白になった。すぐにも日本へ帰りたかった。
しかし、思うようにはいかなくなった。
日奈のカンヌ受賞作の日本での公開が始まり、またあのゴシップが取り上げられはじめたのだ。
日本の状況は家族や友人から聞いてはいた。
外務省内では相手が僕だということはほぼ特定されていたが、緘口令がひかれて、情報を外に出すことは厳重に禁じられていたらしい。
日本にいない僕を追いかけまわすことはできない。
僕から記事を否定したりするとかえって再燃するので、やり過ごすようにと厳命された。
日奈からは迷惑をかけてごめんなさいというメールがあった。
僕の帰国はしばらく難しい状況に変わったと大使から言われた。
僕は受け入れがたく、交際相手を安心させるためにも帰国して結婚したいと上に伝えたところだった。