【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 翌日、琴乃に別れを告げられた。そして、僕の日本異動は正式に取り消された。

 予定より一年は確実で、国内状況を見て遅らせると本庁から正式通達が来たと言われた。

 映画はカンヌの力もあって評判も良く、今日本に僕が戻ると噂になり身バレする可能性が高いと言われた。

 本当に目の前が真っ暗になった。ショックだった。

 僕は琴乃と連絡が取れなくなり、とうとう弟の弦也君に連絡をした。

「姉さんの決断は正しい。日本でどれだけ騒ぎになっていたと思うんです?ワイドショーにも画像が出ていて、あなただって母さんも気づいたんですよ」

 僕は頭の後ろからハンマーで殴られたような痛みがあった。大事なことを失念していたことに気づいた。

「もしかして、お母さんに何かあった?」

「テレビを見てあなたに気づいた母さんは、姉さんが裏切られたと気づいて、大きな発作を起こしました。危なかったんです。それ以降身体の具合も悪くなって入院している。全部玲さんのせいです」

「それは本当か?!琴乃は何も教えてくれなかった。知らなかった。いや、本当に申し訳ない。お母さんは大丈夫なのか?」

「ええ。それに、姉さんが玲さんと別れたので、母はようやく安心しました。だからいつか元気になります。そういえばいつ帰国するんですか?」

「僕の日本帰国は、見送られてしまった。またしばらくイギリス勤務になった」

「そうですか。それはよかった。お互いのためです。言っておきますが、今後は絶対姉さんと連絡を取ろうとしないでください。何かしたら僕はあなたを一生許さない」

「弦也君!」

「それと玲さんと話すのはこれが最後です。僕も姉さんのように今後着信拒否させてもらいます。よろしくお願いします」

「弦也君、ちょっと待って……」
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