【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 やり直そうと言われたが、僕は琴乃を諦めていないし、こんなことになったきっかけの君とつきあうことは一生ないだろうと厳しい口調で伝えた。

 それ以降、日奈からは連絡がなかった。

「お兄ちゃん。ごめんね」

「何が?」

「言ってなかったけど、記事が出てすぐに日奈さんから連絡があって、琴乃さんのアドレス教えたの。あ、もちろん、琴乃さんに事前教えていいかどうかも聞いたんだよ。そうしたらいいって言われたの」

「なんだと?!」

「本当にごめんなさい。だって日奈さんが、お兄ちゃんが琴乃さんのアドレスを教えてくれなくて、琴乃さんに迷惑かけたからどうしても自分で直接謝りたいって言うから教えたの」

「何を勝手なことをしてるんだ!」

「でも、彼女と会って話せた、ありがとうって日奈さんから連絡があったんだ」

 驚いた、まさかそんなことがあったとは思わなかった。

「お兄ちゃん、出張中で連絡取れなかった頃だったから、本当にタイミング悪かったよね。琴乃さんはお兄ちゃんのこと信じてるって言ってたけど、今思えば、日奈さんに会って何か言われたかもしれない。ごめんね」

 どうして日奈と会ったことを教えてくれなかったんだ。

 琴乃に日奈が元カノだと伝えて謝った時も、過去のことだから気にしないでほしいと笑顔で言ってくれた。

 僕に心配をかけまいとして、全部自分一人で抱えていたんだな。僕は別れを選んだ彼女の理由が徐々にわかってきた。

「琴乃にフラれた原因が先日やっとわかった。弟さんに聞いたんだが、日奈とのゴシップをテレビで見た琴乃のお母さんが、ショックで発作を起こして入院したんだ」

「え?!」

「彼女のお母さんには二度ほど会っている。おそらくすぐに僕だと気づいたんだろう。誤解させたんだ」
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