【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「こっちから勝手にメールで別れを告げたんだよ。その後の連絡も無視してる。連絡したからって彼と私に未来は見えない。海外について行くのは無理だもの」

「でも子どもがいるんだよ。お母さんと話し合うべきだよ」

「彼と結婚前に子供が出来たなんて言ったら、彼が私を捨てたと思っているのに火に油を注ぐだけだよ。出来る限り家族には黙っているつもりよ」

 弦也も別なところに住んでいる。会わなければわからない。

「琴乃!あのとき玲さんは会社に電話してきたんだよ。私、退職後のことは知らないなんて嘘をつかなかったらよかった」

「佳純、それでいいの。黙っていてくれてありがとう。でもあれから何の連絡もない。彼はもう諦めたんだよ」

「もう……ねえ、琴乃。まさか、一人で産んで育てる気?」

「うん」

「うんって、琴乃、大変だよ!」

「わかってる……でも私、彼の子なら産みたいの。私ね、一生玲さん以外の人と結婚する気はないんだ」

「何言ってるのよ!もう、本当にそこまで好きなら考え直したほうがいい。子供までできたんだからね。そうだ、ついでにお母さんを紹介してくれる?」

「佳純。お母さんにはこのことを絶対言わないでね」

「今は言わない。でもお母さんを今後説得する人、琴乃の味方を少しでも増やした方がいい。私もそのうちの一人に加えてほしい」

 佳純の優しさに涙が出た。

「ううう……」

「ほら、そんなことでお母さんになれるのかな?ねえ、仕事は大丈夫?」

「自分のペースで仕事はできるから大丈夫。正直今の仕事に転職していてよかった」

 翌日、病院の産婦人科で診察を受けた。

「妊娠されていますね。おめでとうございます」

 廊下で待っていてくれた佳純に、妊娠三か月だったと報告した。

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