【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「あのさ……姉さん、太った?」

 気づいたようだった。

「ううん。妊娠してるの」

「「ええっ!」」

 私は玲さんの子供だということをふたりに話した。しかし、玲さんには何も話していないと告げた。

 弦也はそれを聞いて急に頭を下げた。

「ごめん姉さん、こんなことならもっと早く話していればよかった。藤堂さんのことで姉さんに話していないことがある」

「なに?」

「あの頃、藤堂さんから僕宛に電話があったんだ。姉さんから一方的に別れを告げられて、かなり焦ってたよ」

「あなたにも連絡があったの?そう。実は前の会社の親友にも電話があったのよ。会社宛に電話をかけてきていた」

「あのさ、僕、藤堂さんが姉さんを放置していたことが許せなくて、母さんがあのゴシップで発作を起こして入院したこととか、頭に来てかなりひどいことを言った」

「別れた理由は弦也が話したのね。あの頃、彼から手紙が来ていたの。お母さんが報道で発作を起こしたことを謝っていた。どうしてそのことを知ったんだろうと思っていたのよ」

 彼から別れてしばらくしてから手紙が届いた。元の住所から転送されてきたのだ。私は返事をしなかったので、それ以降彼から連絡は全くない。別れを告げた理由ははっきりしたのでそこまでだと思ったんだろう。

「それと実は……今後僕宛に連絡してきても着信拒否すると言っちゃった。このことを彼女に話したら、玲さんにも仕事とか何か事情があったんじゃないかと怒られた。姉さんに黙って勝手なことをして少し反省していた」

 隣にいた弟の彼女はこう言った。

< 114 / 192 >

この作品をシェア

pagetop