【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「弦也……気持ちだけで嬉しい。でも新婚なんだし、彼女の負担になるから無理はしないでいいのよ」

 隣の彼女は笑顔で言った。

「私なら大丈夫です。実はお母さんの先生とも相談しました。お母さん退院できるかもしれないんです。同じマンション内か、近くに住んでもらって、いずれ子供が出来た頃同居でもいいかなと思っているんです」

「ありがとう……本当にいいの?」

「もちろんです。お子さんをお姉さんが一人で育てるとなったら大変です。お母さんのことは私達に任せてもらっていいです」

 優しい彼女と弟の言葉に、涙が止まらなかった。

「姉さん、妊娠していることは僕らと一緒に母さんへ話そう。主治医の先生の立ち合いで話したら大丈夫かもしれない。藤堂さんのことは先に僕から少し話してみるよ」

「そうですよ、お母さんにとっても初孫じゃないですか」

「ありがとう……本当にありがとう……」

 私はお腹をそっと撫でた。

 そうして後日。

 弟夫婦と主治医の先生を交えて、とうとう私の妊娠について母に話した。その日、母は思った以上に落ち着いていた。私のお腹を見て妊娠じゃないかと薄々気づいていたらしく、弟夫妻へそれとなく聞いていたそうだ。

 さすがの母も私に直接聞く勇気はなかったようだった。

「どうせ……あの藤堂って人の子なんでしょ?」

 玲さんのことは許せないと相変わらず怒っていた。私は、彼に妊娠のことは告げていないし、告げるつもりもないと母に言った。すると母は落ち着いた。

 でも私は、玲さんの子を妊娠できたことは嬉しかったとはっきりと告げた。主治医の先生にも相談して、これだけは言うと決めていたのだ。母は驚いたようだったが、最後にこう言った。

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