【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 乃蒼は生まれた時から、咲ちゃんがお姉ちゃんのようなものだった。ふたりは毎日仲良く遊んでくれていて、母親としては本当に助かった。

 数日後、母と弦也夫妻が久しぶりにうちへ来た。乃蒼は、おもちゃをお土産にもらって大喜びだった。

 妊娠した義妹が安定期に入ったと聞いていたので、私はマタニティー用の洋服や本、ベビー服などを彼女にあげた。

 乃蒼が昼寝をしているとき、急に弦也が、乃蒼のことを玲さんに連絡させてあげたらどうだと母に話しだした。

 私はそんなことを話すとは聞いていなかったので本当に驚いた。

 弦也は自分ももうすぐ父親になるから、同じ父親として子供の存在を知らないのは気の毒だと母に告げた。母は馬鹿らしいと反論した。

「あの人は琴乃と子供まで作っておきながら女優と浮気していた!琴乃は違うと庇っていたけど、あの写真が何よりの証拠よ。乃蒼のことを知らせたら不幸になる」

「母さん。姉さんはどうして乃蒼を一人で育ててると思う?姉さんは僕らの為に今まで全部我慢してきたんだよ」

「弦也!」

 私が弦也を制止しようとしたとき、母は叫んだ。

「絶対ダメ!あの人は外交官なのよ、外国へあの子もつれていかれたらどうするの?!いつか乃蒼も死んじゃうのよ!ああ、乃蒼も……うっ」

「お母さん!」

 胸を抑えた母は、そこで発作を起こした。病院へ運ばれて、緊急入院となった。主治医は事情を聞いたあと、弦也にしばらく母と距離をおくよう伝えた。

「弦也。あなたは何も悪くない。あなたにあんなことまで言わせたのは私よ。全部私が悪いの」

「そうじゃない。あのとき、僕が姉さんに藤堂さんとすぐ別れるべきだと言ったんだ。姉さんは僕や母さんの為に別れたんだよね」

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