【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
第四章

再会


 学校は夏休みに入り、夏期講習が始まっていた。

 子供の小さい彩菜さんと私は、昼間の夏期講習の講師をやるようになった。

 そのため、咲ちゃんを預かることも、乃蒼を預けることもなくなっていた。

 私はなるべく佐田君夫妻と少しづつ距離をおいて、秋には母の近くへ転居しようかと思っていた。

 乃蒼はどんどんしっかりしてくる。パパの問題は避けて通れない。

 先日、予備校の広報担当者から突然声をかけられた。

 各教科のモデル授業をSNSのチャンネルで宣伝も兼ねて流すことになったので、英語の講師として参加してもらえないかと打診された。

 人気が出れば、私の授業を受けたい人が増えて、実質コマ数が増える。お給料にも反映されると説得された。

 名前が売れれば本校以外の他の校舎でも授業ができるようになるとも言われて、転居も考えていた私はその話を受けることにした。

「おい、蔵原。一緒に昼めし出ないか?」

 佐田君だった。そういえば、彩菜さんは今日お休みだ。咲ちゃんを連れてご実家に帰ると聞いていた。

「佐田君……」

「つきあえよ。ちょっと話したいことがある」

「わかった」

 彼の車に乗ってビジネス街を通り抜けた。

 少し予備校から離れたのだ。学生と会うようなところで食事をすると、色々と噂になって面倒だ。

 すぐに彼らは変な噂をSNSで流してしまう。

 ここなら少し遠いので、学生はいない。ビルの地下にある洋食屋さんだった。

 車を駐車場に停めて、店に入った。ビジネス街が近いので、オフィスの女性やスーツ姿の男性が多い。

 そうは言っても、講師だから私達もスーツ姿だ。見劣りはしない。

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