【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
あの時の真実
覚悟を決めて、彼にショートメールを送った。
すると、すぐに電話がかかってきた。
「今朝は不審者に会わなかったか?大丈夫か?」
私を気遣う、優しい声。あの頃と彼は何ひとつ変わっていない。そう思っただけで、胸がいっぱいになった。
「大丈夫です。昨日は本当にありがとうございました。予備校は玲さんの言う通り、すぐに付きまといについての警告を出してくれました」
「琴乃に何かあってからでは遅い。SNSが原因なら、昨日のような奴がまた現れるかもしれない。対処を依頼しようと思って連絡したんだ」
「ありがとうございます。でも、私と連絡を取るためだったんじゃないんですか?」
「まあね。僕は今日有休をとった。できれば今日のうちにもう一度琴乃と会って話しをしたい。時間と場所は琴乃に任せる」
「玲さん、今さら私と話すことなんてないですよね」
「僕にはある。別れてからのことを聞かせてほしい。まさか君に子供までいるとは思わなくて、僕はショックで昨日一睡もできなかった」
勝手にメールで別れを告げたのは私だ。今後の為にも彼に納得してもらわねばならない。会うしかないと覚悟した。
「今日は夜の授業がないので、昼過ぎまで仕事をします。夕方保育園へ迎えに行く前なら時間があります。その頃でもいいですか?」
「もちろんだ。時間と場所は?」
「三時ごろでもいいですか?場所はメールします」
「わかった。じゃあ、あとで」
授業が終わった後、彼と駅の近くで待ち合わせをした。
久しぶりに明るいところで見た彼は、相変わらずカッコいい。いけないと思いつつ、二度見してしまった。
「……くくく……」
嬉しそうに身体を折って笑っている。
「なんですか?」