【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「そうだったんですか?!」

「そう。しかし君とこんなに短いスパンで、偶然にしてもこんなところでまた会うとは驚いたな」

 しかも、二度とも助けられた。びっくりだ。

「本当ですね。ロンドンのどこでお勤めですか?」

 この人は蓮見商事に知り合いがいるというし、あのパーティーに招待されていた企業なら知っているかもしれないと思い、念のため聞いてみた。

「僕はロンドンの日本大使館の書記官、いわゆる外交官なんだ」

「えええ!」

 私はびっくりした。

「すごい、外交官さんなんですか?それはとても尊敬します」

「何が?」

「私、英文科だったんですけど、先ほどのツアーもかなり英語が聞き取れず、実はショックだったんです。ウインブルドンって少し訛りがありませんか?」

「ああ、あるかもね。でも他国で聞く英語よりはかなりわかりやすい。一応ブリティッシュイングリッシュだからね」

「……」

「ああ、そんな顔しないで。さっき、君の話していた英語は発音綺麗だったよ」

「本当ですか?お世辞でも嬉しいです」

「英語使っているの?蓮見商事の関連会社だよね」

「契約書はほとんど英語です。ただ、会話を実践する機会はほとんどないですね」

「そう。じゃあ、この旅行は実践するいい機会だね」

「でも思うようにはいかないですね。もう少し勉強しないとだめかもしれないです」

「ほら、あぶないよ!」

「……え?!」

 彼が私を庇うように私の肩を抱いて歩道に寄せてくれた。

 驚いた。後ろから馬のひづめの音がする。

 すると歩道の真横を馬に乗った人が並足で通り過ぎていく。

 ここは乗馬が盛んで、道を馬で散歩する人もいるくらいなのだ。日本では考えられない。

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