【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「ごめんなさい。別れ方がひどいのは自覚してます。だからメールにも書いたけど、玲さんは悪くないし、私の問題だったんです。あなたには幸せになって欲しかったんです」

「君は全くわかってない。君にフラれて僕は不幸のどん底だった。自分を失いかけた。こんなことは初めてだった。誰かさんが僕を問答無用で切り捨てたからだよ」

「玲さん!玲さんのお相手は海外について行ける人じゃないとだめなのよ」

 燃えるような目が私を射抜いた。

「僕の相手は僕が決める。琴乃、君の問題は僕の問題なんだよ。別れるとか、一人で決めたらだめなんだ」

「玲さん……」

「それより、どうしても聞きたいことがある。昨日の男性が君の夫なのか?隣にいた子も君の子なのか?」

 昨日、彩菜さんにも乃蒼の父親に下で偶然会ったことを話した。佐田君は私達が夫婦だと勘違いしたかもしれないと彩菜さんに話した。

 それを聞いた彩菜さんは、そうだとしたら否定してきてほしいと言った。

 佐田君は彼がきっと近いうちにもう一度接触してくるんじゃないかと言っていた。その通りになった。

 私は意を決して告げた。

「実は、彼とその隣にいた女の子は私の家族じゃありません」

 ガシャン。彼は水をこぼした。私はタオルで水を拭いた。彼はタオルを持つ私の手に自分の手を重ねた。ぎゅっと握られた。

「玲さん、ちょっと……!」

「あの子は……君をママと呼んでいたよな」

「乃蒼は確かに私の子です。でも、彼は乃蒼の父親ではありません。佐田君は同級生です。元々ご夫婦であそこの講師をしていて、私を紹介してくれたんです。隣にいた咲ちゃんは佐田君のお子さんです」

「君の子は乃蒼ちゃんと言うのか?じゃ、君の夫は誰なんだ?」

「夫は……いません」

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