【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
乃蒼のお友達
「ままー!」
乃蒼は元気に私の所へ駆けてきた。
「乃蒼、おかえり。今日はね、ママのお友達が来てるの。ご挨拶だけしようね」
「ままのおともだち?のあ、おともだち、いっぱい。さきちんもともだちよ」
保育園を出たところで私達を待っていた玲さんが、乃蒼を見ながら笑顔で近づいてきた。
乃蒼は知らない背の高い男性に驚いたのか、最初、私の足の後ろに隠れた。
「乃蒼、この人がママのお友達よ」
「こんにちは、乃蒼ちゃん。ママのお友達の藤堂玲です」
彼は膝を折って、乃蒼の目の前でにっこりと話しかけた。
乃蒼は私が笑顔で頷いたのを見て安心したんだろう、ぺこりと頭を下げ、満面の笑みを浮かべ挨拶した。
「こんちわ。くらはらのあ、でしゅ」
それを見た玲さんは目を大きく見開いて、嬉しそうに笑った。
「のあちゃん、きちんとご挨拶が出来ていい子だね」
「のあ、いいこよ。ままとおやくそくなの」
「そうか。おやくそくしてるの?」
「うん」
「えらいね」
玲さんは乃蒼の頭を撫でた。乃蒼は嬉しそうに笑った。乃蒼に彼がパパだと伝えてあげられたらどんなにかいいだろう。二人を見て胸が痛んだ。歩いているうちにスーパーと大きな公園が見えてきた。
「まま、おかいものする?」
「え?」
公園の隣はスーパーで、彩菜さんといるときはどちらかが買い物をして、どちらかがふたりの子供を遊ばせながら見ていた。乃蒼は玲さんがいるから、今日は公園で遊べると思ったのかもしれない。
玲さんは黙って私達を見ていたが、乃蒼の視線が公園に向いているのに気づいて言った。
「乃蒼ちゃん、僕と一緒に公園で遊ぼうか?」
「うん!のあ、あそぶ!まま、おかいものね?」