【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 乃蒼は玲さんに抱きついた。私はあっけにとられた。確かに、保育園の先生が仲良く遊べたらお友達になれると教えていた。乃蒼はいつも〇〇ちゃんと遊んでお友達になったと報告してくれていたが、まさか……。

「さあ、帰ろうか」

「うん」

 玲さんは右手で私の荷物をサッととると、左手で乃蒼の手を繋いでしまう。

 あまりのことに、私は固まった。

「まま、ごはんおにくね。きのう、おやくそくした」

 きのう、確かに作ってほしいと言われたが、材料がなかったので今日買い物が出来たら作るねと話していたのだ。こういうことだけは本当によく覚えている。

 それで買い物するんだよねと言ったんだとわかった。いつも食べたがるので材料は今日も多めに買ってきていた。

 鶏ひき肉に豆腐と野菜を入れて柔らかく作ったつくね。それが乃蒼の大好物。小さな手で掴んで食べてしまう。まるで昔の弦也のようだった。

「れいくん、ままのおにく、おいしいよ?たべる?」

「ママのお肉?」

「甘めに味付けしたつくねのことです……」

「へえ、いいな。僕は琴乃の手料理を食べたことがない。僕も食べたいな」

「さきちんもおともだちで、おにくいっしょにたべるよ。れいくんもおともだち。のあのおにくたべていいよ」

「乃蒼!」

「ね、まま。れいくんおともだちよ。いっしょにおにくいいよね?」

 純粋でつぶらな瞳が私を見る。断ったら乃蒼はきっと泣くだろう。そのくらい、期待している目だった。

「……そうね……」

「わーい」

 私が頷いたのを見て、乃蒼は飛び跳ねて喜んだ。

「いいのか、琴乃?」

「お肉は先ほど買ってきました。大したものはできませんが、よろしければ食べて行ってください。昨日助けていただいたお礼です」

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