【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 得意げに話す。信じられない。まさか、玲さんが遠足の首謀者だったなんて……。

 この間、乃蒼が大きな公園と海にえんそくだよと嬉しそうに話していたのだ。

 保育園の遠足の案内なんて聞いていないし、彩菜さんに一度聞いてみようと思っていたところだった。

「遠足ってまさか、玲さんだったの?私、てっきり保育園の遠足かと思って……」

「くくく。騙されたの?乃蒼に僕と行くことは内緒だと言ったんだ。乃蒼は偉いな。僕との約束をちゃんと守った。楽しみにしてくれているみたいだから準備しておいて。9時過ぎに車で迎えに行く」

「……もうっ!」

 彼は真顔になって言った。

「それと……琴乃、一泊するからそのつもりでいてほしい。少し話があるんだ」

「え?」

「乃蒼が寝てからゆっくり話したい。僕の今後のはなしだ」

「玲さんの今後の……そう、わかりました……」

 玲さんの今後と聞いて私はピンと来た。もしかすると、玲さんの結婚が決まったのかもしれないと思った。

 日本勤務の間に、次の海外勤務に備えて妻帯、つまり結婚するのが外交官は普通だと前から聞いていた。

 だから以前の彼はイギリスから帰国が決まり次第、私に結婚しようと言ってくれていたのだ。

 玲さんが私ではない誰かと結婚をする。考えただけで辛かったが、祝福しようと決めた。彼のような容姿端麗なエリートを周りが放っておくはずもない。

 そうだとすると、この旅行を最後に私達と距離を置くつもりなんだろう。

  その日、玲さんは車で迎えに来た。乃蒼は目を輝かせて車を見ている。

「くるまだー!のあものるの?」

「そうだよ。乃蒼、車に乗りたいって言っただろう?玲は乃蒼のお友達だ。約束は守るよ。車に乗せてあげる」

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