【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
もう迷わない
翌朝。
「まま、おきて!」
乃蒼に促されたのだが、すぐに起きられなかった。腰回りがだるい。
そしてとても眠い。目をこすってあくびをした私を見て乃蒼は笑った。
「まま、おねぼうさん、いけませんね!」
乃蒼は私がいつも乃蒼に言っている台詞を嬉しそうに話している。
「……乃蒼ったら、もう!」
隣にいる玲さんは、昨日の余韻はどこへやら、まぶしい笑顔でこちらを見ている。しかも、昨日よりしゃっきりと元気だった。信じられない。
「乃蒼、ママはいつも忙しくて大変なんだよ。今日くらいおねぼうも許してあげて。そうだ、乃蒼は朝ごはんまで僕と一緒に外へ探検に行こう」
「のあ、れいくんといく。まま、おねぼうさん」
乃蒼は玲さんの手を掴んで跳ねている。
「乃蒼、他のお客様もいるから騒がないでね」
「琴乃、僕がついてる。それに乃蒼はいつもいい子だから、心配はいらないよ」
「のあ、いいこ」
上機嫌の乃蒼を連れて、玲さんは私にウインクひとつ残して部屋を出て行った。
私はその間に急いでお風呂へ入った。
身支度を終えた頃、食事が部屋に運ばれてきた。二人がようやく戻ってきた。
「わあい、ごはん、ごはん!」
「ただいま、琴乃。具合はどう?」
「ええ、よくなりました。どこに行って来たの?」
「宿の周りだよ。宿の人がシャボン玉をくれてね。庭で遊んできた」
「まま、ふわふわ、きらきらなの」
「綺麗だったな、乃蒼」
「うん」
手を洗ってきた乃蒼は、私に甘えてきた。
「どうしたの?」
「まま、おねぼうさんなおった?」
「うん。さっきはごめんね」
嬉しそうに笑うとご飯をようやく食べだした。