【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「はい……はい、その通りです」

「いくら僕があの時のことを釈明してお母さんの誤解を解いたとしても、琴乃の本当の気持ちをお母さんに伝えないとだめだよ。僕の一方通行だ。二人で説得しないとだめなんだよ」

 確かにその通りだ。ずっとお母さんの為に彼の話題を避けてきた。

 それなのに、誤った記事を訂正する前にお母さんの発作が起きて、私はとうとう絶望して彼から逃げた。

 今ならわかる。玲さんの言う通り、本当の気持ちを伝えて向き合わないとだめだ。

 私は彼を愛しているし、別れても忘れることが出来なかった。私達には乃蒼もいる。

 乃蒼の幸せを考えれば、このままではいけないのだ。私はようやく覚悟を決めた。

 * * *

 私は玲さんと主治医の先生と三人で事前に打ち合わせをした。

 家族が心の病になると、看病している家族も似たような病になることがあるそうだ。結局、家族の治療もしていることが多いと悲し気に言われた。

 だからこそ、シングルマザーになってまで我慢している私を弟同様に心配していたと言ってくれた。

 先生からは玲さんの手紙を渡す前に、私の気持ちを正直にお母さんに話したほうがいいと言われた。側に先生がついているので安心してほしいと言ってくださった。

 その日。先生はお母さんが興奮しないように、横についていてくれた。

「お母さん。玲さんはあのゴシップのせいで最近までイギリスにいたの。最近帰国して、私を探して会いに来てくれた。再会したの」

「……琴乃!」

「蔵原さん、落ち着いて。僕もお嬢さんの話を聞いて了承の上お話してもらっているんです。ゆっくり深呼吸して。そう、それでいいですよ」

「お母さん……」

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