【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「さあ、きちんと聞いてあげてください。お嬢さんは今まで気持ちを隠して我慢してきたんですよ」

「……先生、だって……」

「蔵原さんはお嬢さんを信じていないんですか?」

「この子はあの外交官に騙されたんです。あの人は立派に見えるんです。私も二度ほど会いました。見た目はいいし、言葉遣いも丁寧で、弦也も騙されました。免疫のない琴乃が騙されたのも無理ないんです」

「実はこのあいだ、弟の弦也さんと一緒にきた彼と会いました。さすが蔵原さん、最初の直感は正しいです。とてもきちんとした人でした。そう、確かにイケメンでしたね」

「先生!」

 私達は驚いて主治医の先生を見つめた。先生は優しく微笑んだ。

 私は勇気を出してお母さんに話しはじめた。

「お母さん聞いてほしい。あのテレビでお母さんが見た原田日奈さんと玲さんの話は全くのデマなの。あれから大分経つけど、ふたりはよりを戻してないし、結婚も約束してない」

「……」

「だって、あの頃の玲さんは近いうちに帰国する予定だった。私と結婚の話もしていた。ゴシップのとき、彼は他国に出張中だった。彼は大変だったのよ。あの後、帰国も取り消されてイギリスに二年もいたの」

「……嘘よ」

「彼は外交官として日本の女優である彼女の仕事を助ける必要があったんですって。仕事上の関係だっただけなの。でも、お母さんが発作を起こして倒れて、私……」

「……そんなはずないわ。そんなの嘘よ、騙されてるのよ、子供まで作らされて捨てられたの、最低よ」

「あの時、勝手に別れを告げて逃げたのに、玲さんは私を探してやり直そうと言ってくれた。もう後悔したくない。彼を悲しませるのも嫌……」

「藤堂さんは子供まで作っておきながら……」

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