【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「よし、それでいいね?すみません、これはこのまま履いていきます」

 店員はにこやかにお礼を言うと、あっという間に準備をはじめた。

「綺麗だ、琴乃」

 鏡の後ろに立った彼が私を見て言う。

「私、シンデレラみたい……普段と違いすぎて、乃蒼も驚いていたでしょう」

 乃蒼は鏡に映る自分を見て、上機嫌で踊っている。

「シンデレラは時間が来ると魔法が解ける。君の魔法は一生解けない。魔法使いは僕だからね。ほらもうひとつ魔法をかけてあげる」

 私の頬にチュッとキスをした。信じられない、ここは日本なのに!

「大丈夫、誰も見てない。煽るなよ、琴乃。そうやって真っ赤になって慌てる姿を見るともっとやりたくなる」

 私は頬を抑えて悶絶していた。

 * * *

 玲さんのご実家は、買って頂いた服にぴったりの素晴らしい豪邸だった。そういえば、お父様も大学の教授をされていると言っていたことをようやく思い出した。

 私のようなものが彼のお嫁さんでいいんだろうか。今更ながら困惑した。乃蒼もいるし、彼にふさわしい人間となるため努力するしかないと覚悟を決めた。

 門から玄関まで広い庭があり、それだけで乃蒼はびっくりしたようだった。そういえば、今まで一軒家に行ったことがなかった。

「いらっしゃい、琴乃さん。久しぶりね。本当に……」

 お母様は私を見て言葉を詰まらせた。

「ご無沙汰しております。あの、本当にすみませんでした」

 頭を下げた。

「謝るのはこちらのほうだ。本当に悪かったね、琴乃さん。その子が?」

 お父様は乃蒼をじいっと見ている。玲さんが隣の乃蒼に言った。

「乃蒼。僕のパパとママだ。乃蒼のじいじとばあばだよ」

「じいじ?」

「そう」

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