【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 お母様は乃蒼を見るととたんに目を潤ませた。

「その目……信じられないくらい玲の小さい頃にそっくりよ。ああ、こんなに似てるなんて……」

「そうだな」

 おふたりは乃蒼の前で膝を折った。

「乃蒼ちゃん。はじめまして。じいじとばあばだよ」

「こんちは。くらはらのあでしゅ」

 乃蒼は緊張した様子もなく、いつも通りだった。にっこりしながらぺこりと頭を下げた。こういうところは親ながら本当に助かる。

「ご挨拶がきちんとできてなんていい子なの。乃蒼ちゃん、こっちへ来て。じいじとばあばが乃蒼ちゃんにプレゼントを準備したのよ」

 部屋に上がった乃蒼は、プレゼントの三輪車を見つけて大喜びだった。おじいちゃんに三輪車へ乗せてもらって、広いリビングをぐるぐる回り始めた。お茶を出してくれたお母様は涙を浮かべていた。

「琴乃さん、大変だったでしょう。本当にごめんなさいね。これからは私達もサポートするから何でも言って頂戴」

「いえ、こちらこそ黙って乃蒼を出産してしまいました。本当にすみませんでした」

「とんでもない。お母さんに反対されたでしょうに、よく産んでくれましたね。ありがとう。それでお母様の具合はどうですか?」

「はい。お蔭様で落ち着いています」

「一度私達もお見舞いに伺わせてほしいの。玲のこともお詫びしたいし……乃蒼ちゃんのこともお礼を言わないと……」

「ありがとうございます。母の状態を見て、ご連絡させていただきます。もしかすると、来月辺り退院の許可がおりそうなんです」

「あら、退院できそうなの?良かったわね」

「ええ。玲さんのことを受け入れてくれてから、少し変わってきたんです。このままなら来月退院できるかもしれないです」

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