【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 母は、退院したら弦也達と同居すると言っている。私と距離を置こうとしているようだった。主治医の先生は、お母さんのいいようにさせるのがいいと言っていた。

 義理の妹も出産したばかりで大変そうなので、あまり無理をさせたくなかった。でも、弦也は母にとって小さい孫の世話や家事の手伝いなど、やることのあるほうがいいだろうと言っていた。

 確かにそれにも一理ある。孫は二人目だし、母もやる気満々だった。

「琴乃の弟さん夫婦に子供が生まれたばかりだし、お母さんのこともある。結婚式は落ち着いてからにしようと思っている。でも乃蒼のために、籍だけはすぐに入れたいんだ」

 玲さんがお父様に言った。

「もちろんだ。乃蒼ちゃんは家族になることを受け入れてくれたのか?」

「ああ」

 玲さんが私を見た。私はお父様達に答えた。

「はい。乃蒼はすぐに玲さんに懐いてしまいました。今思えば親子だったからだと思います」

「聞いたよ。友達になったと得意げに話していた。琴乃さん、今後何かあれば私達を頼ってほしい。琴乃さんの親になったつもりでいるから、遠慮しないでほしんだ」

「そうよ。琴乃さんがお仕事の時や何かあった時、乃蒼ちゃんを預かりたいの。乃蒼ちゃんが私達にも懐いてくれるよういつでもふたりで遊びに来てね」

「はい。ありがとうございます」

「籍は今日この後入れてくる。ふたりの苗字も今日から変わる」

「わかった。琴乃さん、藤堂家へようこそ」

「ありがとうございます」

 突然、バタンという音がした。

「お兄ちゃん達、もう来てる?」

 玄関の方から声がした。お母様が立ち上がった。

「里奈だわ。玲の妹です。もう、相変わらず騒々しい子で……ごめんなさい」

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