【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 彼が私を後ろからふんわりと抱きしめた。そして首筋の髪を避けるとチュッとキスをした。

「あ……だめです」

「これくらい許してくれ」

 彼はそう言うと、そっと出て行った。

 私はそのまま髪をセットしてもらい、化粧をしてアクセサリーを付けた。

 靴を履いたころに、彼が入ってきた。あまりの素敵な様に目が釘付けになった。彼は本当に特別な美しさのある人だ。正装した彼を久しぶりに見たが、前より男っぷりがあがっている。見慣れているのに見惚れてしまう。

「玲さん、素敵です。本当の王子様みたいだわ……」

 彼は王子様よろしく、私に手を差し伸べてくれた。これじゃ、周りの女優さん達が彼を放っておくはずがない。

「私、今日はきっと玲さんが女性に囲まれるているのを目の当たりにするのね。それに、どうして私なんかが玲さんの奥さんなんだろうとか言われるんでしょうね。はー……」

「琴乃!何を言ってるんだよ!君こそ美しいじゃないか」

 玲さんの声を聞いて、後ろにいたスタッフが前に出て来て口々に言いだした。

「何をおっしゃってるんですか、奥様!」
「奥様だってお美しいです」

「その通り。僕の妻は美しいんだよ。それなのに、自己評価が低いんだ。君達、もっと言ってやってくれ」

「今日は藤堂さんの奥様がいらっしゃると聞いていて、スタッフは皆楽しみにしていたんです」
「本当におふたりはお似合いです。奥様自信をもってください。色んな人を見てきた私達が言うんですからね」

 店員と美容師、スタイリストが並んで嬉しそうに私達を見ていた。

「おふたりとも完璧すぎます。ちょっと記念に写真を撮ってもいいですか?」

「え?」

「並んでください」

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