【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
パーティーでの再会
パーティーはスワンホテルだった。彼との思い出のホテル。
外務省がホストだけはある。出席者の半数以上が外国人だった。英語だけでなく、他の言葉も飛び交っている。緊張した。
すると、受付の近くにいた黒いロングドレスの女性が近づいてきた。彼も私を引っ張っていく。
「藤堂、遅かったじゃない。あら、失礼。本当に奥様を連れてきたのね」
「木下さん。紹介します。ようやく僕の妻になった琴乃です」
「本当にあなたがお相手だったのね。久しぶりだわ」
私は木下さんに頭を下げた。
「お久しぶりです。四年前、上司のセクハラを訴えなさいと言ってくださいましたよね。ありがとうございました」
「最近まで予備校の英語講師をしていたと藤堂から聞いていたけど、もしかして私のせいでセクハラを訴えて、蓮見をやめさせられたの?」
「いいえ。辞めたのは別な理由です」
「それならよかった。藤堂はあなたを取り戻すため、仕事をひと月だけ調整してほしいというから、特別に私は協力したのよ。さすが藤堂、別れていたはずのあなたとひと月で結婚までこぎつけた」
「その話は彼から聞きました。色々とお仕事のほうもご迷惑をおかけしたようで、大変申し訳ございませんでした」
私は彼女に深々と礼をした。
「いいのよ。藤堂のイギリスでの苦労が報われたようでよかったわ。あなたにフラれた藤堂は見たことのない姿でね。正直本当に心配だったの。結婚した途端、仕事のモチベーションがあがって、上司として助かってるわ」
「ちょっと、木下さん。僕の仕事の質は前から悪くはなかったはずですよ」
「そうだったかしらね……?」
「ふふふ……」