【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 二人のやり取りがおかしくて笑ってしまう。本当にいい関係の上司と部下なのだろう。

「藤堂は仕事もあるから、あなたが一人になる時間もあるけど、英語講師なら大丈夫ね」

「英会話のほうは実践が足りていないので少し心配なんですが……頑張ります」

「あらあら、じゃあ早速実践してみて頂戴。行くわよ藤堂」

「はい。琴乃、悪い。すぐに戻ってくる。そのあたりでカナッペでもつまんでいて」

 隣にいた金髪の女性から英語で声をかけられた。このケーキが美味しいのよと笑って教えてくれた。

 ベルギーのチョコを使っているらしい。少し世間話をしたら、今度は彼女のエスコートをしていた男性から話しかけられた。

『あなたはパートナーがいるんですか?』

『はい、ホスト側の外務省の人です』

『僕も知り合いがいるんですけど、誰ですか?』

『ミスター藤堂です』

『藤堂はあなたのような美人を集める才能に長けているね。何しろ、僕の美人のガールフレンドがイギリスで藤堂に一目ぼれしたんだ』

『え?』

 ひとりになった私の前に若い外国人の男性が来た。

『おひとりですか?僕もひとりなのでよろしければ隣いいですか?』

『あ、えっと……』

『ケビン。彼女は僕のパートナーだ。待たせたね、琴乃』

 いつの間にか玲さんが私の横に立っていた。

『玲さん。お知り合いなんですか?』

『そう。イギリスの芸能事務所の人だ。ケビン、久しぶり』

『ああ、天気そうだな玲。会えて嬉しいよ。じゃあ彼女も外務省か……綺麗だから女優かと思ったよ』

『彼女は外務省職員じゃない。僕の最愛の妻だ。紹介するよ、琴乃だ』

『ヒュー、妻?!そうだったんだ、これは失礼。噂の彼女は本当に違ったんだな』

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