【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 蓮見商事の若社長は反対隣りの美しい女性と話していたが、後ろにいた部長がこちらに来たので、私をじいっと見つめた。

「驚いたな、もしかして蔵原さん?」

「はい。部長。お久しぶりです」

「いや、綺麗になったね。前から綺麗だったが、今日の君はすごいね。それにしてもどうしてここに?」

「ホストの外務省担当者と一緒に来たんです。灰原部長のお隣にいたのは蓮見商事の若社長ですよね。もしかして部長は蓮見商事へ移られたんですか?」

「そう、今は本社の秘書室にいるんだ。驚きだろう?」

「そうなんですね。いえ、不思議じゃないです。灰原部長なら出世すると思ってました」

「こういう出世はしたくなかった。前の方がよかったよ。社長秘書の奥様が妊娠されてね。秘書室長が知り合いで、色々無害な僕にお声がかかったんだ」

「おい……灰原君。そこの美人とお知り合い?是非とも紹介してくれよ」

 蓮見商事の新社長が来た。社長もイケメンだが、私には玲さんの方がずっと素敵に見える。

 私を見る社長の目が気に入らない。まるで本部長みたいだ。
 
「社長。彼女は数年前までロジスティックスで僕の部下だったんです。とても仕事が出来る人だったんです。彼女がいなくなって一時期大変でした」

「ほおう。そうだったのか。じゃあ、僕の顔を知っていた?」

「はい、もちろんです若社長。以前は専務でいらしたのも存じています。ご就任おめでとうございます」

「こんな美人がロジスティックスにいたとは……。灰原君は仕事が出来て美人の彼女をどうして辞めさせたんだ?」

「それは……」

 灰原部長が口を濁したので、私ははっきりと社長に言った。

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