【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「琴乃、君は相手を見て言葉を選びながら、必要に応じて大切なことも口にできる。君は気づいてないようだが、外交官の妻としてとても大事な資質を備えているんだよ」

「玲さん……」

「自信を持ってほしい。君こそ僕の妻にふさわしいんだ。妻としての自覚をもってくれ」

「妻としての自覚……それはあるにはあるんだけど、自信がないの」

「ほらはじまった。君の間違った劣等感を正してやる必要があるな。探す必要はなかったようだ。あっちから来た」

 彼は私の後ろをじいっと見た。

 嗅いだことのある香水の匂いがしてきた。振り向くとそこには日奈さんがいた。

「玲、あっちでエージェントがあなたを探しているわ。仕事を放りっぱなしなんて、あなた大分変わったわね。蔵原さん、お久しぶり。結局元のさやに納まったようね」

「はい」

 身体の線がはっきり見えるドレスを優雅に着こなしている。とても素敵だった。前よりも色気があるような気もした。私が彼女に圧倒されているのに彼は気づいたんだろう。さりげなく、彼は私の肩を抱き寄せた。

「玲ったら、もう何も言わないからそんな風に睨まないで。いい加減許してくれてもいいんじゃない?蔵原さん、玲はあなたと別れたのはすべて私のせいだと思っているのよ。あんまりじゃない」

「何度も玲さんには違うと言ったんですけど、ご迷惑おかけしてすみませんでした」

「なんで謝るんだ。謝るのは日奈だ。どうせ、琴乃を孤立させるようなことを言ったんだろう。早く謝れ」

 日奈さんは目を見開いて驚いている。そして私を見て言った。

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