【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「うちの両親は一緒に行くと言ってるんだ」

 驚いた。何を言ってるんだろう?

「えっと、まさかハネムーンに?」

「乃蒼を連れてハネムーンは大変だろうと言ってね。数日両親のほうで乃蒼の好きそうな所へ連れて行くと言ってくれたんだ。うちの両親は海外馴れしてるから心配ないと思うけど、乃蒼次第というところだが心配ない」

「えー!」

「僕はどっちでもいいけどね。ただ、ヨーロッパは時差ボケになる。特に乃蒼くらいの小さい子は昼夜逆転でつらいはずだ。きっと最初は昼間に寝てしまって、夜ずっと起きている。そうなると僕らの時間は邪魔される」

 僕らの時間って、玲さんは相変わらずだ。

「玲さんったら……それはしょうがないでしょ?」

「乃蒼には、妹を作るためだと説明する」

 呆気に取られた。何を言い出すんだろう。

「ちょ、ちょっと玲さん、何を言いだすの?」

「琴乃」

「はい」

「出産して一年くらいは君も大変だろう。日本で過ごした方が楽だと思う。だけど、僕は赴任が決まったら家族を日本へ置いていく気はない。君と離れるなんてもう無理だ」

「……」

「つまり、いつ赴任になってもいいように、準備をする必要がある。選択肢も、時間もあまりない。乃蒼のいうとおり、家族でがんばらないとね」

「玲さん!」

 彼は私の手を取った。

「僕の計画ではもう少しのんびりしたかったんだけど、どうやらそうもいかないかもしれない。ハネムーンベビーなら乃蒼の協力も取り付けやすい」

「協力って何を?」

「もちろん僕らの夜の邪魔をしないということさ。乃蒼には実家にあるこうのとりの絵本を読みきかせてある。こうのとりは夜寝ている時にパパとママの所に来ると書いてある」

 そんな絵本があるとは思えない。

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