【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「そんな本、本当にあるの?」

「まあね。洋書の絵本なんだ。向こうの言葉で書いてあるから、乃蒼は読めない。僕がうまいこと翻訳して読みきかせしてる」

 茶目っ気のある瞳が輝いた。これは玲さんが絵に合わせていいように翻訳してるんだわ。
 
「乃蒼が夜起きていて僕らの部屋でこうのとりを待っていたらだめ、ひとりで寝ていないとこうのとりはこないと教えた。あちらでは、子供は小さいうちから親と離れて子供部屋で寝るものだからね」

 びっくりして何も言えなかった。信じられない。相変わらずこういう根回しだけは完璧なのだ。

「乃蒼は妹の為に頑張ると言っていた。パパとママだけにしてくれるそうだよ」

「……玲さんったら……」

「君は頑張る必要もなさそうだな。夕べの様子ならすぐにこうのとりが飛んできそうだ」

 私が顔を赤くしたのを見て、唇にキスを落とす。すると、身体を引き寄せてまた唇を割った。

 するとピンポーンと玄関から音がした。

「まったく、早くから邪魔するなと言ったのに、もう来たのか」

「え?」

「僕らの天使が迎えにきたようだ。ママが恋しくて、朝から迎えに行くとじいじに駄々をこねたらしい」

「ええ?!」

 彼が部屋のドアを開けると、乃蒼が彼の足に抱きついた。

「ぱぱ、ままは?」

「奥にいるよ」

 乃蒼は私の所へ一目散に走ってきた。

「ままー。おしごとおわった?」

「ええ。おわったから安心してね。乃蒼はじいじのおうちでいい子だった?」

「のあ、いい子。ね、じいじ。あれ、じいじは?」

 乃蒼は振り向いて連れて来てくれたお父様をきょろきょろと探している。玲さんがドアを閉めてこちらにきた。

「じいじはもう帰ったよ。乃蒼もおうちに帰ろうか?」

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