【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 ふたりは手を繋いでいなくなった。

 料理は本当においしそうだった。お皿にたくさん盛ると、パラソルの下に用意されている席へ座った。

 周りは皆立って色んな人と話している。

 食べようとしたときに、三人組の男性客が私の所に来た。

『こんにちは。お隣いいですか?』

『はい』

 すると、両隣に二人が座り、一人が目の前に立った。気づくと囲まれてしまっている。

『君は日本人だよね。留美のお友達かな?』

『はい、そうです』

『君すごく綺麗だね』

 また、お世辞がはじまった。そういえばウインブルドンでも声をかけられた。

 日本人女性ってイギリスで人気なのかしら?もう一人の隣の男性が言った。

『僕ら君と会ったことなかったよね?留美の日本人のガールフレンドは何人か知っているけど、こんな綺麗な子がいたなんて知らなかった。僕ら君に釘付けだったんだ』

『あ、あの……』

 背中に彼の手が回った。私はびくっとしてそちらを向いて身体を引いた。

『ちょっと失礼します』

 私は料理を椅子の上において立ち上がり、一歩前に出た。

 すると、少し前にいた金髪の男性がとおせんぼうをするように私の前に立った。

『どこに行くの?一緒に行くよ』

 隣にいた二人の男性も立ち上がって私を囲んだ。どうしよう。身動きがとれなくなった。

『失礼』

 腕をギュッと引かれて、そのまま身体ごと誰かにぶつかった。

 するとその腕で身体を抱きしめられた。顔をあげるとそこには藤堂さんがいた。

『……えっ』

『悪いね、彼女は僕の連れなんだ』

 彼が私を引き寄せると、顔を近づけて英語で言った。わざと彼らにわかるように話しているんだと分かった。

< 21 / 192 >

この作品をシェア

pagetop