【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「琴乃は僕について知りたいことがあるの?」

「玲さんは数年後日本に戻ったとしても、ずっと日本にはいられないんですよね?いずれまた海外勤務ですか?」

「そうだな。いずれまた外へ出ると思う。その時は君と赴任したい」

 やっぱりそうなんだ。私は母のことを考えると結婚は絶対無理だと思った。

「どうした?」

 私の顔を覗きこんでいる。

「無理です……」

「何が無理?それと無防備な君を守るため、僕は君にはもう決まった相手がいるんだとわかるようにして日本へ帰す」

「え?」

 * * *

 チェックアウトぎりぎりに私のホテルへ戻り、空港へ急いだ。
 
 玲さんは私の荷物を預けると、空港内の有名宝飾店へ私を連れて行った。

「今日は急いでいるから、店頭にあるものでサイズが合うものを……値段は気にしないでいいから好きなものを選んでほしい」

「でも……」

「デザインとか君の希望に合わせたものはまた買ってあげるから。今回は虫よけのための一時的なものだ」

 サイズがぴったりの指輪はあった。でも高価だ。

 私が断ると、彼は無理やり買ってしまった。

 呆気に取られている私をしり目に、その指輪を私の左手をとり、あろうことか薬指にはめようとした。

「この先誰にも琴乃を渡す気はないから。僕の覚悟を知ってほしい」

「玲さん……」

「もちろん、その時がきたらきちんと正式な申し入れはするよ。それ用の指輪も用意する。でも、これは僕の最初の誓いの指輪だ」

 彼は私の手を持ち上げてそこへキスをした。

 店員は日本語だったので意味はわからないだろうが、周りを見るとにやにやしている。

 恥ずかしくて隠れたくなった。

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