【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「聞かれたら答えればいいよ。交際しているって言ってもいいけど、所詮会えてないから、心配かけるだけになりそうでしょ」

「うん」

「問題は数年後本当に彼からプロポーズされてからのことかもしれないね。とりあえず、日本勤務のうちに結婚してしまえば、いいんじゃない?」

「佳純……」

「お母さんもよくなってるかもしれないし、弦也君だってその頃には就職してるかもしれないじゃない。琴乃ひとりで抱えなくてもいいんじゃないかな」

「佳純ありがとう」

「え、何が?」

「いつも的確なアドバイスをくれるから感謝してる」

「琴乃」

「ん?」

「大丈夫だよ。なんとかなる。どうしようもなくなったら私がお母さんに話してあげる。そのうち、一度お母さんに紹介して。仲良くしておいた方が無難かもしれないからさ」

「うん、ありがとう、佳純大好き!」

「はい、はい……よくこんなんで、ひとりで家族を支えて来たよね。これだから、彼も琴乃が手放せないのかも。琴乃って結構天然入ってるんだよ。男性社員が遠巻きに見てるの気づいてないの?」

「何言ってんの?それ絶対私じゃないよ、佐伯さんを見てるんじゃない?彼女可愛いよね」

 うちの部署の新人の佐伯さんは美人。入ってきたとき大騒ぎになった。

「はー。そういうところが無防備というか、だから玲さんに三回も救われてんじゃないの?ホント、指輪はきちんと左手にしたほうがいいんじゃない?」

 玲さんには左手の薬指にしろと言われたが、さすがにできないので、右手の薬指にいつもしているのだ。

 効果はあるか微妙だけど、彼が側にいるような気がして指輪はつけっぱなしにしていた。

 結局、佳純の言う通り、彼との交際はお母さんには内緒にした。

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