【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 玲さんのことは、結局お母さんがあれから何も聞いてこないから何も話していないのだ。

 きっと聞きたくないんだと薄々感じていた。

 * * *

 年末になり、弦也が今日帰ってくる予定だった。

「姉ちゃん、ただいまー!」

「おかえり、弦也。え?また背が伸びてない?」

 どういうこと?別人のようだった。男の人って感じになっていて、昔の幼い弦也はどこかへ行ってしまっていた。

「そうかもね。10センチ以上伸びた。178センチ。姉ちゃん、ちっちゃくなったな。可愛い」

「はあ?」

「あはは……姉ちゃんの焦げた唐揚げ楽しみだな」

「わかりました。焦げた唐揚げ作ればいいのね」

「冗談だよ。ねえ、お母さんは?あれから大丈夫だった?」

「うん。一応ね。部屋にいると思う」

 弦也が帰ると聞いて、お母さんは朝からとてもテンションが高かった。ご機嫌だ。

 そういえば、今日の夜の便で彼も日本へ帰ってくる。そのままご実家に戻ると聞いている。

 私と会うのは年明けになりそうだ。

 その日の夜、お母さんが部屋へ戻った後、私は弦也の部屋を訪ねた。ノックしようとしたら中から話し声がした。

「菜穂、初詣なら一緒に行けると思う。あ、うん。姉ちゃんには話しておくよ」

 菜穂って言った?女の子と話してる!もしかして、彼女?声が聞こえなくなったので、部屋をノックした。

「どうぞ」

「弦也、もしかして今の電話の相手って彼女?ごめん、少し聞こえちゃった」

 真っ赤になった弦也は頭を掻いている。図星だったようだ。

「マネージャーなんだよ。最近付き合いだした。そのうち、姉ちゃんにも会わせるけど、初詣の時に会うから挨拶する?」

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