【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「あの人ひどいな。母さんが切れるのもあたりまえだよ。俺だって記事見て切れそうになったもん」

「待って、決めつけないで!そんなはずない……玲さんはそんな人じゃないもの……」

「琴乃ちゃんは男性とお付き合いするの初めてでしょう?しかも、こんな外交官なんてすごい人、この人元々この女優さんとつき合っていたって書いてあるけど本当なの?」

「それは本当です」

「そんな人が琴乃ちゃんと急につきあうなんて、ちょっと不思議よね」

 おばさんの言うことは確かに理解できる。私と彼とでは違いすぎることぐらいわかっている。

「そうなんだよ。姉ちゃん初心だから騙されたのかもしれないよな。旅先で出会って意気投合して……」

「やめて!」

 ふたりは黙った。

「ごめんなさい。確かにお母さんのことは私のせいよ……でも玲さんからは必ず連絡が来ると思うし、私もきちんと確認するから……」

 医師から声をかけられ、話はそこで終わった。母の病状の説明を三人で受けた。発作の原因を聞かれて、弦也がそれとなく答えた。

 先生はそれが原因だとすると、今後私との接触で興奮したり、ニュースを見ることでさらに症状が悪化する可能性もあると言われた。

 家にいると私と口論になったり、興奮したりする可能性が高いので、しばらく入院させませんかと提案された。

 その後、お母さんの入院の手続きで忙しくなった。

 彼からは夜中にメールが来た。

「連絡が遅くなってすまない。週刊誌はデマだから信じないでほしい。今の僕には琴乃だけだ」

「わかりました」

「仕事が落ち着いたらまた連絡する。心配かけてすまない」

 玲さんから否定してもらってほっとした。お母さんの件は黙っていた。
 
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