【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 その後、原口日奈さんからメールがあった。どこかで一度お会いできませんかという内容だった。

 * * *

 原口日奈さんは、ドラマの撮影でとても忙しい上、記者に追われているのであまり外に出られないという。

 事情は分かったので、ドラマの撮影現場の近くで会った。

 「わざわざ来てもらってごめんなさい」

 彼女は入ってくるなり、丁寧に立ち上がって私に頭を下げた。とても驚いた。

 背もすらりと高く、玲さんと並んでもこれならなんら遜色ない。記事を見た時に思ったがお似合いなのだ。

 マネージャーがテイクアウトのコーヒーとケーキを運んできた。

 日奈さんは落ち着いた雰囲気のある美人だった。芸能人らしいオーラはもちろんあるのだが、居丈高なところはなかった。

 元カノだったというのは、本当なんだろうとその時思った。彼が惹かれる素質のある人だと思ったのだ。

「里香さんに連絡先を教えてほしいとお願いしたのだけど、蔵原さんに確認して了承してもらったと聞いて嬉しかった。どうもありがとう」

「……いいえ」

 彼女はじっと私を見ている。

「あなたと玲が交際しているというのは聞いていました」

「そう、ですか……」

「記事のこと驚いたでしょう」

「はい。でも玲さんがデマだと否定してくれました」

「玲にも言ったけど、あの記事の間違いは結婚秒読みというところだけ。他は真実」

「え?」

「私はデビュー直前まで玲と交際してました。事務所に交際を止められてお互い好きなのにやむなく別れた」

「……」

「でも今なら事務所も交際OKなの。玲にはやり直したいと気持ちを伝えてきたわ。でも、最近になってあなたがいると断られていたの」

 最後の言葉にほっとした。

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