【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「藤堂君。僕はイタリアの最終日に合流する。パーティーだけ君と参加するからね」

「わかりました。お待ちしております」

 * * *

 イタリアで会議が終わったあと、日奈がカンヌで受賞が内定したとフランスの外務省関係者から知らされ驚いた。

 多くの関係者からお祝いを言われた。

 正直、複雑な心境だった。

 日奈もあちらの事務所の所長も、これを契機にまたうるさくなるんじゃないかと思ったからだ。

 仕事で橋渡しをしたのだし、受賞したのに知らぬふりはできない。お祝いぐらいは言うべきだろうと思った。

 だが、本人にメールをするとまた交際云々と始まるので、マネージャーに儀礼的なお祝いのメールをした。すると驚くべき返信が来た。

 昨日付のデジタル版週刊誌で彼女のプライベートが記事として掲載されているというのだ。該当記事がメールに添付されてきた。

 僕と日奈が映っている。しかも彼女が僕の顔を見ながら腕を取っているのだ。

 血の気が引いた。これは、二年前の空港の写真?

『カンヌ女優賞の原口日奈。元交際相手と結婚秒読みか』

 驚きすぎて手が震えた。記事を見てから、その下にある文章をようやく読んだ。

 頭に血が昇り、琴乃のことを考えたらすぐに掲載をやめさせないといけないと思った。

 急いで日奈に電話をした。訂正させなければならないと理性がどこかへ飛んでいた。

 日本の時間などまるで考えていなかった。

 すると真夜中にも関わらず、先ほどのメール相手だったマネージャーが日奈の携帯に出た。

「記事のことですか?日奈は今新しいドラマの撮影中です。今日は朝方までかかるから話せないですよ」

< 90 / 192 >

この作品をシェア

pagetop