【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 元々、琴乃は辛抱強い。僕に対しても弱音を吐かない。何でも自分で抱えて我慢してしまうのだ。

 お母さんのことも話してくれるまでだいぶかかった。

 ゴシップの釈明をしてから、彼女のメールの返信が途絶えがちになった。

 今まではこちらのメールにすぐに返信があったのに、既読になっても返事が来ないことも増えた。明らかに何かが変わった。

 どうしても嫌な予感がしてならなかった。彼女の顔を見て様子を確認したかった。

 一時帰国の申請は即座に却下された。理由はやはりマスコミに狙われる可能性があること、日奈のマネージャーが言っていたような理由だった。

 恋人に釈明するためどうしても帰国したいというなら、彼女の方にイギリスへ来てもらった方が安全だとも言われてしまった。

 確かにその通りなのだが、それが出来れば苦労はない。琴乃はお母さんのこともあるから簡単に出国できない。

 僕は何が何でも今回は直接琴乃に会うと決めていた。それで、空港から出ないことを条件に一時帰国を再度要請した。

 僕は次のG7への随行が決まっていて、一時帰国を強行しても半日程度しかいられないことはわかっていた。

 上司は僕の決心が固いことを知って諦めたようだった。

 空港直通のホテルに一泊する形で、外に出ないことを条件に一時帰国へ応じてくれた。

 夕方に空港へ入る便で日本へ戻り、翌朝発の便でとんぼ返りすることにした。

 すぐに琴乃へ連絡をした。

「外に出るなと言われているのに、そこまで無理して帰国することはありません。私なら大丈夫です」

「琴乃に心配をかけたと思うからどうしても会いたいんだ。君は有休を取れないと言っていただろう。仕事が終わってから空港に来てもらえないだろうか」

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