あなたの××××に触れたい
パラソルが立てられた木材のテーブルとイスが並ぶテラス席は解放感があり、頬にあたるそよ風が気持ちいい。

「ここはBLTサンドがおいしいですよ」
「じゃあ、それにします」
「了解です」

喜多川さんは慣れた様子でオーダーを済ませる。
ドッグカフェに初めて訪れた私が悩まないように、おすすめを教えてくれるなんて気が利く。

「綿谷さんはおいくつですか?」
「二十五歳です」
「三つ年下ですね。俺は二十八です」
「そうなんですか! 落ち着いているからもう少し年上だと思っていました」
「それは俺がジジくさいってことですか?」

喜多川さんは、不満そうに唇を尖らせる。

「そ、そうじゃなくて、あの、その……」

イケメンなうえに清潔感があってスタイルもいい彼は、決してオジさんくさくなんかない。
一刻も早く訂正しようと焦る私の前で、喜多川さんはクスクスと笑い出す。

「冗談です。ごめんなさい」
「い、いいえ」

温厚な喜多川さんが不機嫌になって慌てたものの、私のひと言で気を悪くしたのではないとわかり、ホッと息をついた。

「俺、どうやら好きになった相手をからかう癖があるみたいで……」
「からかう……癖?」
「からかうとその人の素が出るじゃないですか。あたふたしてかわいかったですよ」
「かわいかったって……誰が?」
「綿谷さんが」

喜多川さんはニコリと微笑む。
余裕が感じられる彼とは対照的に、私の心臓はドキドキと大きな音を立て始める。
喜多川さんって、私のことが好きなの?
そんな疑問が脳裏をかすめる。しかしその考えはすぐに吹き飛んだ。
眉目秀麗な彼が、平凡でこれといった特徴のない私を好きになるはずがない。
そうか、喜多川さんはまた私をからっているんだ……。
もうその手には乗らないと心に決めて呼吸を整えていると、オーダーしていた料理が運ばれてきた。
私たちは喜多川さんおすすめのBLTサンド、レオくんは鶏むね肉のステーキだ。
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