あなたの××××に触れたい
「さあ、ここからが本番だ。レオ、行くぞ!」

喜多川さんがリードをはずすと、レオくんは勢いよく駆け出す。

「綿谷さんも一緒に!」
「はい!」

レオくんの足の速さに驚きつつ、ふたりの後を必死に追う。しかし距離は縮まるどころか、どんどん離れていく。

「も、もう無理……」

息も絶え絶えに足を止める。
もともと運動は苦手。徒競走は常に下位だったし、学生時代はクラブには入らず帰宅部を貫いた私には、身体能力が高い彼らについていけなくて当然だ。
フラフラになりながらベンチに座って乱れる呼吸を整えていると、喜多川さんがこちらに向かって走ってくるのが見えた。

「大丈夫ですか?」
「は、はい。なんとか……」

喜多川さんは私の目の前でしゃがみ込む。
屈んでもベンチに座る私より顔の位置は高く、片膝をついた脚はありえないほど長い。
スタイルのよさが際立っている多川さんは、やはりカッコよくて心臓がドキッと跳ね上がった。

「すみません。無理させたみたいで」
「いえ。私のほうこそ体力がなくてすみません」

私を心配してくれているときに不謹慎だと思っても、一度高鳴り始めた鼓動は簡単には静まらない。
このままでは心臓が持たない。

「私、ここで休んでいるので、レオくんのそばにいてあげてください」

私がバテてしまったことなど知る由もないレオくんは、ドッグランを元気よく走り回っている。
このまま放っておいてはいけないし、喜多川さんもレオくんが気になっているはずだ。

「わかりました。なにかあったら呼んでください」
「はい。そうします」

私がうなずくと、喜多川さんはレオくんのもとに走っていった。
しっかりとした骨格に広い肩幅、スラリと伸びる長い手足。そしてレオくんを優しくなでる大きな手……。
車に乗っていたときと同じように、男らしさを感じるパーツが気になって落ち着かない。
ドックランに来たのに、彼の姿ばかり目で追ってしまうのはよくないのに……。
罪悪感を抱いていると、喜多川さんとレオくんが戻ってきた。
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