恋も料理もじっくり弱火で
結菜はまだ信じられないといった様子で、柚葉の肩をがしっと掴んだ。
「しかも、普通に超イケメンだし!」
「そうそう! 背も高いし、少女漫画の王子様みたいに優しいし、その上料理までプロ並みとか完全に反則でしょ」
「……そうかな?」
『そうかな!?』
二人の気合いの入った声が見事に重なる。柚葉は首を傾げ、少しだけ記憶を巻き戻してから、ぽつりと呟いた。
「確かに格好いいし、すごく優しい先輩だなぁ、とは思うけど……」
「それだけ?」
「うん。それ以外に何かある?」
結菜は天を仰いで大きな溜息を吐いた。
「もう、重度の鈍感さんだ。真帆、言ってやって!」
パスを受け取った真帆も、苦笑しながら声をひそめて続ける。
「あのね、柚葉。秋月先輩って、校内の女子だけじゃなくて、恋愛の噂もめちゃくちゃ絶えない人なんだよ」
「恋愛?」
「そう! 去年、すっごく美人な三年生の先輩に告白されたとか」
「私は、隣の高校の可愛い子と付き合ってたって話も聞いたことある!」
「え、私は一年の内に何人もの女子から告白されたって聞いたよ? とにかく、常に周りに女の子の影があるっていうか……」
次から次へと飛び出す華やかな噂話に、柚葉は「へぇ……」と何処か他人事のように感心してしまう。
「そんなに人気なんだね」
「だから有名なの!」
結菜はふんす、と腕を組んで力強く頷いた。
「まさに近寄りがたい『高嶺の王子様』って感じ。普通の一年生女子なら、話し掛けられただけで心臓が破裂しちゃうレベルなんだから」
「でも、本人は全然チャラチャラしてないんだよね」
「そうそう、誰にでも平等に優しいから、余計に勘違いして傷つく女子が後を絶たないっていう罪な男だよ」
そんな二人の熱弁をBGMにしながら、柚葉は「ふーん」と生返事を打ってトコトコと再び歩き出した。
そして、一呼吸置いてから大真面目な顔で振り返る。
「でもね」
「ん? 何か思うところあった?」
期待の目を向ける二人に、柚葉はにこりと満面の笑みを浮かべた。
「先輩のオムライス、本当に、ほっぺたが落ちるくらい美味しかったよ」
『そこぉっ!?』
結菜と真帆の息の合ったツッコミが、昼休みの廊下にキレよく響き渡る。
「こっちは恋愛とイケメンの話をしてるの!」
「だって、私はイケメンよりも美味しい料理の方が何倍も気になるんだもん」
えへへ、と悪びれずに笑う柚葉を前に、二人はもはや降参したように顔を見合わせ、深く肩を竦めるしかなかった。
「しかも、普通に超イケメンだし!」
「そうそう! 背も高いし、少女漫画の王子様みたいに優しいし、その上料理までプロ並みとか完全に反則でしょ」
「……そうかな?」
『そうかな!?』
二人の気合いの入った声が見事に重なる。柚葉は首を傾げ、少しだけ記憶を巻き戻してから、ぽつりと呟いた。
「確かに格好いいし、すごく優しい先輩だなぁ、とは思うけど……」
「それだけ?」
「うん。それ以外に何かある?」
結菜は天を仰いで大きな溜息を吐いた。
「もう、重度の鈍感さんだ。真帆、言ってやって!」
パスを受け取った真帆も、苦笑しながら声をひそめて続ける。
「あのね、柚葉。秋月先輩って、校内の女子だけじゃなくて、恋愛の噂もめちゃくちゃ絶えない人なんだよ」
「恋愛?」
「そう! 去年、すっごく美人な三年生の先輩に告白されたとか」
「私は、隣の高校の可愛い子と付き合ってたって話も聞いたことある!」
「え、私は一年の内に何人もの女子から告白されたって聞いたよ? とにかく、常に周りに女の子の影があるっていうか……」
次から次へと飛び出す華やかな噂話に、柚葉は「へぇ……」と何処か他人事のように感心してしまう。
「そんなに人気なんだね」
「だから有名なの!」
結菜はふんす、と腕を組んで力強く頷いた。
「まさに近寄りがたい『高嶺の王子様』って感じ。普通の一年生女子なら、話し掛けられただけで心臓が破裂しちゃうレベルなんだから」
「でも、本人は全然チャラチャラしてないんだよね」
「そうそう、誰にでも平等に優しいから、余計に勘違いして傷つく女子が後を絶たないっていう罪な男だよ」
そんな二人の熱弁をBGMにしながら、柚葉は「ふーん」と生返事を打ってトコトコと再び歩き出した。
そして、一呼吸置いてから大真面目な顔で振り返る。
「でもね」
「ん? 何か思うところあった?」
期待の目を向ける二人に、柚葉はにこりと満面の笑みを浮かべた。
「先輩のオムライス、本当に、ほっぺたが落ちるくらい美味しかったよ」
『そこぉっ!?』
結菜と真帆の息の合ったツッコミが、昼休みの廊下にキレよく響き渡る。
「こっちは恋愛とイケメンの話をしてるの!」
「だって、私はイケメンよりも美味しい料理の方が何倍も気になるんだもん」
えへへ、と悪びれずに笑う柚葉を前に、二人はもはや降参したように顔を見合わせ、深く肩を竦めるしかなかった。