夏と君


「あー、てるちゃん怒ってるかな~」


と、苦笑いをしながら言う。



「さくと上原ってなにかあるの?
前から気になってたんだけどどんな関係?」




家がお隣さんで、物心ついたときには一緒に居た幼馴染だと早坂から聞いた。
そして、上原は焦った時や真剣な場面では必ずさくのことを「サクナ」と呼び捨てする。





「てるちゃんは家が隣同士で気づいた時には幼馴染的な?」




オレとミウナみたいな関係というけど、
あんなに焦ったり、心配したりはしない。




「でもなんであんなに心配してんの?」




「私がちょ〜方向音痴だからだよ。

学校の近くか家の近くまで行かないと帰れなくなるの。

前にね、家に帰れなくなって警察のお世話になったの。

それからてるちゃんも家族も心配して…うん…」





「去年の夏祭りの帰りって……」




「アヤトくんと駅まで一緒に帰って、その後お別れして、

そしたらたまたま早坂くんと再会して、
でも早坂くんにてるちゃんに連絡されそうになって、

絶対にてるちゃんには頼りたくなかったから、
早坂くんにお願いして送ってもらったの。

お恥ずかしながら・・・」




「最初に言ってくれればオレが送ったのに。
上原があの日さくにオレらと行くなんて聞いてない嘘つかれたって。
でもなんで嘘ついた?」



どうして、上原に嘘をついたのか、分からなかった。




「今までずっとてるちゃんと花火みてたんだよね。

私が花火みたい〜って毎年夏になると騒いで、

暑いから嫌だめんどくさいと言いながらも、

私がちょ〜方向音痴で帰れなくなるから一緒に行くと言ってくれて、

渋々付き合ってくれてたの。」




「塾のメンバーに誘われる前はもう花火大会に行くのは辞めようと思ってたの。

てるちゃんはなんだかんだ優しいからまた行ってくれちゃうし、
ずっと迷惑をかけるの申し訳ないでしょ?

それに彼女出来たら彼女が可哀想だよ〜」と




それって、多分、さくが言っているの逆だと思う。



上原はずっとさくのことが好きで、
暑いしめんどくさい、方向音痴で帰れないと困るとかはさくと一緒にいる為の理由な気がした。
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