ピンチの時にさっそうと現れたヒーローは、見た目以外は高スペック男子でした。
「なに、その女!最低なんだけど!!」

 そして、場所を居間に移し、アメリアは吠えていた。
 旅装をとき軽く埃を落とした後のため、綺麗に背中に流されたままの髪が魔力を帯びてふわりと広がる。
 果てには、パチパチとあふれ出した魔力がはじけていた。

「落ち着け、アメリア。魔力がもれている」
 同じくマントを外し身ぎれいにしたウィズが、パチンと指を鳴らした。

 途端にアメリアから漏れ出していた魔力がスッと消え失せる。

「……だって」
 途端に興奮が少し落ち着いたのか、立ち上がっていたアメリアがストンと腰を落とした。
 しかし、その愛らしい唇が不満を表すようにツンととがったままである。

「自分の気持ちが受け入れてもらえないからって癇癪起こして、呪った挙句に別大陸まで吹っ飛ばすなんてどれだけよ!」
 イライラと吐き捨てるアメリアに、ウィズは困ったように肩を竦め、同席していた面々は何とも言えない顔を見合わせた。

 ウィズが聞いてほしいといった話は、なぜ他大陸まで飛ばされてしまったかの原因だった。

 ウィズはもともとロドム国の王に仕える筆頭騎士のもとに、5男として産まれた。
 側室腹であったため大して注目も受けていなかったのだが、剣術の才能に加えて魔力も多かったためめきめきと頭角を現したらしい。
 加えて美女と名高かった母親の血を濃く引いたためか、非常に見目麗しかった。
 成人の儀を終え、領地で過ごしていたのだが、せっかくの能力を活用せよと王国騎士団に放り込まれた際、転機が訪れた。

 王家の末姫に見初められてしまったのである。
 とはいえ、側室である母親はその美貌ゆえ召し上げられた平民であり、筆頭騎士の血筋であっても王の末姫をめとるなど許されることではなかった。
 それでも、お互いが思いあっているのなら、まだ許される芽があったのかもしれないが……。

「どうにもそんな気にならなくてな」

 王家の血筋らしく大変見目麗しい姫であったのだが、甘やかされた上の傲慢さと他者をもののように扱う様子が苦手で、ウィズは身分が足りないのをこれ幸いと逃げ回っていた。
 しかし、拒否されることに慣れていない姫は、たいそう意地になり、さらに追いかけ回すという悪循環におちいることとなる。

 挙句の果てに。

「自分のものにならないなら、そんな美貌は分不相応だ。身分にふさわしい見た目になればいい、と言われて呪いをかけられたんだ」
 王家の秘宝を勝手に持ち出し強力な呪いで姿を変えられ、自分のシンパであった魔術師たちを使い場所指定しない転移術で飛ばされたのだ。

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