朝昼夜の三重人格な陛下と、第三王妃の聖女な薬師
ランナはポーラの今の姿を自分に重ねる。もし自分もヒルの呪いにかかっていたらと思うと恐ろしくて、ポーラから目を背けてしまう。
おそらく妖艶に微笑んでいるポーラと目を合わすのが怖くて、でも前方の冷酷なヨルとも目を合わせたくない。ランナは顔を伏せて左手を右手で強く握りしめる。
(ヒルくん……私、どうしたらいいの? 助けて……!)
昼人格のヒルが助けに来る事はない。それでも左手の金色の指輪だけがヒルとの繋がり。ヨルに詰め寄られて、すぐ前に気配を感じた、その時。
背中側でも正面でもない、どこからか全く別の存在の気配を感じた。それはランナとヒルの横から二人の間に素早く入り込んできた。
それが誰かを認識するよりも早くランナの身体が感じたのは浮遊感、次に疾走感へと変わり目の前の景色が一瞬で変わる。
(えっ……カレンさん?)
ランナをお姫様抱っこして走るのはメイドのカレンだった。ヨルの体を避けて部屋を出ると、廊下へと出てヒルの城の方向へと走り続ける。
カレンはメイド服を着てはいるが、やはりメイドとは思えない。素早い身のこなしだけでなく夜目が利くのか、暗闇を恐れる事も足取りが迷う事もない。
ヒルのお姫様抱っこの時の何倍ものスピードでカレンはヒルの城、そしてヒルの自室へと辿り着いた。
リビングでようやく床に下ろされると、ランナは今までの恐怖を忘れてカレンと向かい合う。
「カレンさん、私を助けてくれたの……?」
そうであれば、夜だからと言ってカレンはヨルの味方という訳ではなさそうだ。
ランナを抱きかかえて走ったのにカレンは少しも息を切らしていない。感情のない漆黒の瞳で真っ直ぐにランナの金の瞳を見据える。
「私は中立を守っただけでございます」
肯定とも否定とも取れる曖昧な言葉。カレンはランナを守るためではなく、自分の信念を守るために動いている。
しかしメイドがヨルの前からランナを連れ去るなんて、身の程知らずではないかと心配になる。
「カレンさん……あっ……」
ランナはまだ何かを言おうとしたが、急に膝に力が入らなくなって倒れそうになる。咄嗟にカレンが再びランナを抱きかかえてベッドへと運ぶ。
「大丈夫です。眠れば朝が来ます。安心しておやすみください」
少し微笑んだ気がしたカレンの目元は優しさを含んでいるようで安心を与えてくれる。
カレンはランナが眠りにつくまで、ずっとベッドの横で何も言わずに見守っていた。
おそらく妖艶に微笑んでいるポーラと目を合わすのが怖くて、でも前方の冷酷なヨルとも目を合わせたくない。ランナは顔を伏せて左手を右手で強く握りしめる。
(ヒルくん……私、どうしたらいいの? 助けて……!)
昼人格のヒルが助けに来る事はない。それでも左手の金色の指輪だけがヒルとの繋がり。ヨルに詰め寄られて、すぐ前に気配を感じた、その時。
背中側でも正面でもない、どこからか全く別の存在の気配を感じた。それはランナとヒルの横から二人の間に素早く入り込んできた。
それが誰かを認識するよりも早くランナの身体が感じたのは浮遊感、次に疾走感へと変わり目の前の景色が一瞬で変わる。
(えっ……カレンさん?)
ランナをお姫様抱っこして走るのはメイドのカレンだった。ヨルの体を避けて部屋を出ると、廊下へと出てヒルの城の方向へと走り続ける。
カレンはメイド服を着てはいるが、やはりメイドとは思えない。素早い身のこなしだけでなく夜目が利くのか、暗闇を恐れる事も足取りが迷う事もない。
ヒルのお姫様抱っこの時の何倍ものスピードでカレンはヒルの城、そしてヒルの自室へと辿り着いた。
リビングでようやく床に下ろされると、ランナは今までの恐怖を忘れてカレンと向かい合う。
「カレンさん、私を助けてくれたの……?」
そうであれば、夜だからと言ってカレンはヨルの味方という訳ではなさそうだ。
ランナを抱きかかえて走ったのにカレンは少しも息を切らしていない。感情のない漆黒の瞳で真っ直ぐにランナの金の瞳を見据える。
「私は中立を守っただけでございます」
肯定とも否定とも取れる曖昧な言葉。カレンはランナを守るためではなく、自分の信念を守るために動いている。
しかしメイドがヨルの前からランナを連れ去るなんて、身の程知らずではないかと心配になる。
「カレンさん……あっ……」
ランナはまだ何かを言おうとしたが、急に膝に力が入らなくなって倒れそうになる。咄嗟にカレンが再びランナを抱きかかえてベッドへと運ぶ。
「大丈夫です。眠れば朝が来ます。安心しておやすみください」
少し微笑んだ気がしたカレンの目元は優しさを含んでいるようで安心を与えてくれる。
カレンはランナが眠りにつくまで、ずっとベッドの横で何も言わずに見守っていた。