朝昼夜の三重人格な陛下と、第三王妃の聖女な薬師
顔を伏せて苦悶の表情を浮かべるランナを宥めるかのように、モニカがランナの片手を優しく両手で包む。
ハッとしてランナが顔を上げると、モニカの青空のような碧眼と天使のような微笑みが心の暗雲を吹き飛ばす。
「分かりますわ。不安ですわよね。私は第一王妃としてランナさんのお力になりたいですわ」
「第一王妃……?」
モニカは年上として、王妃の先輩として好意を持って接してくれているのは分かるが、それ以上に気になる言葉があった。
第一王妃がモニカならランナは何番目の妃なのか。朝昼夜の時系列で言うなら昼の妻は第二王妃であると予想した。
しかし、その予想をアサがあっさりと覆す。
「ランナさんは第三王妃ですよ」
(え、なんで?)
ランナは思わず脳内でツッコミを入れる。結婚した順だと言うならポーラよりもランナの方が先に指輪を受け取った。
しかし、その疑問の答えはシンプル。単純に王妃の年齢順であり大した意味はない。
ヴァクト陛下には三つの人格があるが一人の人間。形としては一人の国王に対して三人の王妃がいるという一夫多妻みたいなものだ。
(そもそも、なんで陛下には三つの人格が?)
そこが最大の謎ではあるが、どこまで核心に触れていいのか分からない怖さがある。
いつの間にか朝食を食べ終えていたモニカは立ち上がると隣のアサの膝の上に座る。さらにアサの首に両腕を絡めて抱きつく。
唐突に絡み始めた夫婦を目の前にしてランナは目を見開いて停止してしまう。急に大人の色気を纏ったモニカをアサは平然と抱き返す。
「ランナさん、よく見てください。これが『呪い』なのです。モニカさんは僕を愛しています。そうですよね、モニカさん?」
「はい……アサ様、愛していますわ……」
モニカはアサの両頬を両手で包むと深く唇を重ね合わせる。ランナは咄嗟に顔を背けて目の前の現実を視界の中に入れる事を拒絶する。
アサに呪いだと言われてもモニカは何とも思わない。ポーラと同じでモニカもアサの愛の奴隷でしかない。それこそが『呪い』なのだと見せつけられた。
(なんで、アサ様もヨル様も……それを私に見せるの!?)
ランナは唇を噛み締めて時が過ぎるのを待つしかない。王妃の中で唯一、正気を保っているランナだからこそ『辛い』という感情が湧き起こる。
ヨルとポーラを見た時と同じ、耐え難い不快感が今もまたランナの心を掻き乱していく。
アサの狙いはモニカとの愛を見せつけるためのものではない。ようやく唇が解放されたアサは邪気のない微笑みでランナを見るが、その赤い瞳は悪魔の瞳だと確信した。
「分かりますよね。僕の人格が1つであれば、誰も苦しむ事がないのですよ」
穏やかな口調で説き伏せるかのように、顔を伏せたランナの耳にはアサの誘導の言霊が鳴り響く。アサの目的と真意はヒルとヨルと同じ。
呪いにかからなかったランナは誰よりも苦しい思いをする。不条理な愛を正常な心が認めない。誰に対しても不快感と嫌悪感しか生まない。
「ランナさん。あなたの力が必要です。ヒルとヨルを殺すために」
アサは、ヒルの呪いに支配されていないランナを協力者として取り込もうとしていた。
ハッとしてランナが顔を上げると、モニカの青空のような碧眼と天使のような微笑みが心の暗雲を吹き飛ばす。
「分かりますわ。不安ですわよね。私は第一王妃としてランナさんのお力になりたいですわ」
「第一王妃……?」
モニカは年上として、王妃の先輩として好意を持って接してくれているのは分かるが、それ以上に気になる言葉があった。
第一王妃がモニカならランナは何番目の妃なのか。朝昼夜の時系列で言うなら昼の妻は第二王妃であると予想した。
しかし、その予想をアサがあっさりと覆す。
「ランナさんは第三王妃ですよ」
(え、なんで?)
ランナは思わず脳内でツッコミを入れる。結婚した順だと言うならポーラよりもランナの方が先に指輪を受け取った。
しかし、その疑問の答えはシンプル。単純に王妃の年齢順であり大した意味はない。
ヴァクト陛下には三つの人格があるが一人の人間。形としては一人の国王に対して三人の王妃がいるという一夫多妻みたいなものだ。
(そもそも、なんで陛下には三つの人格が?)
そこが最大の謎ではあるが、どこまで核心に触れていいのか分からない怖さがある。
いつの間にか朝食を食べ終えていたモニカは立ち上がると隣のアサの膝の上に座る。さらにアサの首に両腕を絡めて抱きつく。
唐突に絡み始めた夫婦を目の前にしてランナは目を見開いて停止してしまう。急に大人の色気を纏ったモニカをアサは平然と抱き返す。
「ランナさん、よく見てください。これが『呪い』なのです。モニカさんは僕を愛しています。そうですよね、モニカさん?」
「はい……アサ様、愛していますわ……」
モニカはアサの両頬を両手で包むと深く唇を重ね合わせる。ランナは咄嗟に顔を背けて目の前の現実を視界の中に入れる事を拒絶する。
アサに呪いだと言われてもモニカは何とも思わない。ポーラと同じでモニカもアサの愛の奴隷でしかない。それこそが『呪い』なのだと見せつけられた。
(なんで、アサ様もヨル様も……それを私に見せるの!?)
ランナは唇を噛み締めて時が過ぎるのを待つしかない。王妃の中で唯一、正気を保っているランナだからこそ『辛い』という感情が湧き起こる。
ヨルとポーラを見た時と同じ、耐え難い不快感が今もまたランナの心を掻き乱していく。
アサの狙いはモニカとの愛を見せつけるためのものではない。ようやく唇が解放されたアサは邪気のない微笑みでランナを見るが、その赤い瞳は悪魔の瞳だと確信した。
「分かりますよね。僕の人格が1つであれば、誰も苦しむ事がないのですよ」
穏やかな口調で説き伏せるかのように、顔を伏せたランナの耳にはアサの誘導の言霊が鳴り響く。アサの目的と真意はヒルとヨルと同じ。
呪いにかからなかったランナは誰よりも苦しい思いをする。不条理な愛を正常な心が認めない。誰に対しても不快感と嫌悪感しか生まない。
「ランナさん。あなたの力が必要です。ヒルとヨルを殺すために」
アサは、ヒルの呪いに支配されていないランナを協力者として取り込もうとしていた。