銀河の雫
……翌日。

いつも所長が座っていた席。


今日も空席のまま、所長の姿はなかった。

副所長の挨拶で朝礼が始まる。

「連絡事項です……正式な辞令が本日付で出まして、日向所長は近日中に海外勤務になります」

執務室内がざわつく。

私は全身が震えだすのが分かった。

もう、会えないの?



何それ……





やっぱり私は、思い出作りの一部に過ぎなかったんだ。

「残務処理で本日、こちらにもお越しになります」

ここに来る……



心の準備なんてできてない。

どうしたらいいの?

気持ちを伝えられないまま、二度と会えなくなってしまう。

所長にとっては、場の雰囲気に流されただけのこと。

それでも子どもの頃から支えてくれて、助けてくれてありがとうと伝えたい。

大好きだったことも……

そわそわと落ち着かないまま、業務をこなす。

午後三時を過ぎた頃だった。

「……はい、お電話変わりました、担当の月浦です。ご連絡ありがとうございます……」

視界の先で扉が開く。

コートを身に纏った所長が入って来た。

心臓がぎゅんとなる。

その足取りが、まるでスローモーションに思え、鼓動が速くなる。

こんなときに不謹慎にドキドキしている。

遊ばれたんだって思っても、彼が愛おしい。

なんだか涙、出そうになる。

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