銀河の雫
所長がすごい剣幕で、こちらに向かってくる。
思わず二、三歩後ずさる。
すぐ側まで来ると、身体と両腕で私をロッカーの間に閉じ込めた。
逃げ場をなくし、顔を見上げる。
その瞬間、耳の横で、ロッカーの扉を拳で叩く鈍い音がした。
ビクッと肩が跳ね上がり、思わず身をすくめる。
「ねぇ、さっきのどういう意味?」
「……そのままの意味です」
「分かんない、分かるように言って」
私の耳元で囁く。
「……人が来ます」
「構わない」
「……所長は……」
言葉が喉の奥に詰まる。
けど、必死に言葉を押し出した。
「あのとき、ごめんって言いました」
所長は静かにうなずく。
「それが答えだと受け取りました」
「ちゃんと話をさせて欲しい」
「遊びだったってことですよね、私に責任持てないって……そういう意味ですよね」
「……」
しばし沈黙が流れた。
「答えられないのが答えだと思います。失礼します」
私は軽く会釈をし、所長の胸を両手で押し返す。
バッグをぎゅっと握りしめ、小走りでドアを出た。
こらえていた熱いものが頬を伝った。
エレベーターを降りエントランスを出る。
ペデストリアンデッキに出て振り返ってみる。
追っては来なかった。
本当にそれが答えなのだと理解した。
私は心が深く抉れるような痛みを覚えた。