銀河の雫


脳裏に幼い頃から今までのことがフラッシュバックした。

物心ついたころから勉強もスポーツもなんでも万能だった。

授業中に皆が分からずに悩んでいる問題も、頭の中でいとも簡単に解くことができた。

カンニングを疑われたことすらあった。

数式を紙に書かずに答えを導き出せることが、無能な数学教師には理解できなかったのだろう。


背はすらりと伸び、バスケットボール部でキャプテンもしていた。

リーダーシップがあり、小中高いずれも生徒会長。

自分で言うのもなんだけど、男女年齢問わず人望があった。

みんな一目置いていた。

あたしの人生は完璧だった。

あるひとつのことを除けば……



あたしは、親の事情で乳児院に預けられ、そのまま児童養護施設で育った。

母は中学のとき、あたしを身ごもった。

父親が誰なのかは、あたしの知る処ではない。

周囲が母の身体の異変に気が付いた頃には、すでに堕胎できる時期を過ぎていた。

世間の目を気にし、遠くの親戚に預けられ、母は人に知られることもなく、秘密裏にあたしを産んだのだった。



母は時々会いに来ては「仕事が落ち着いたら必ず迎えに来るから」と、決まり文句のように言った。

幼かったあたしは、藁にもすがる思いで、その言葉が現実になる日を待ちわびた。

……けれど、それが叶うことはなかった。

母は二十代になると、好きな男ができて、そのまま結婚した。

あたしのことは夫に言い出せず、そのまま二人の子を儲けた。

結果、帰る場所も頼る家族もなく、天涯孤独の身だ。

良くも悪くも人とは違う人生。

心の底から愛してくれる人なんて、皆無だった。
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