銀河の雫
……突然の月浦しずくさんとの再会で、ふと、想い出がよみがえる。
十八歳の頃、雪深い青森の田舎から上京した。
父親の借金を肩代わりして、返済すべく、銀座の高級クラブで働いていた。
事業が失敗し、借金を残したまま女の人と蒸発してしまい、やむを得ずのことだった。
そこにある日、一人の医師が仲間に連れられて飲みに来た。
学会の帰りと言っていた。
他の医師仲間と違って、彼は寡黙で夜のネオン街には似つかわしくない雰囲気だった。
話を聞くと、とても仕事熱心で素敵な人だった。
けど左手の薬指に、指輪が光ってたことには、すぐに気が付いていた。
彼は「親が勝手に決めた結婚相手だ」と、言ってた。
それから出張の折には、必ずクラブに立ち寄り、私を指名してくれた。最初は、それだけのことだった。
好きになってはいけなかった。
けれど、自分の気持ちに蓋をしようとすればするほど、思いは強くなった。
酔って「歩けない」と、口実を作って、彼が私のアパートに一緒に来るようにしむけた。
そして、私のほうから告白をして、迫った。
本気であなたが好きだと。
彼は最初、私を拒んだ。
けれど、一度だけと懇願し、関係を持ったのだった。
結局、彼も根負けした。